共益債権
共益債権については約定どおりに全額支払する必要があります。
特に注意が必要なものの1つとして「双方未履行双務契約の主張による共益債権化」(民事再生法49条4項)というものがあります。
例えば,売買契約があって,開始決定があった段階で,売主は商品をまだ渡していない,他方買主はまだ代金を支払っていないというように双方が債務未履行の状態にある契約関係がある場合には,債務者側に相手方に履行をしろと請求するか,あるいは契約を解除するかの選択権が与えられます。
双方未履行の状況で,再生債務者が「残りの商品も納入してください」と履行を選択した場合には,売買代金は共益債権となり,再生債務者は代金を支払う必要があります。
一般優先債権
一般優先債権である税金,社会保険料,労働債権などは全額支払わなければならず,債権カットの対象になりません。
別除権付債権
別除権は手続外で自由に実行できます。
例外1 別除権協定
別除権協定とは,担保目的物を時価評価して,それをいついくらずつ支払っていくので,その間は担保権を実行しないでください,という取決めです。
この別除権協定を締結すると,その間は担保権を実行できなくなります。
例外2 担保権消滅請求(民事再生法148条)
担保権消滅請求がなされると担保権が消滅させられてしまうが,担保権が消滅させられてしまう条件として,その担保の目的物の時価相当額を一括して支払うことが必要とされています。
債務者が「時価」だと言っている金額について,別除権者が「それはおかしいよ。もっと高いはずだよ」と思ったら,債権者は裁判所に価額決定の請求ができ,裁判所が担保目的物の時価がいくらかを決めることになります。
例外3 担保権の実行手続の中止命令 (民事再生法31条)
相当期間,担保権の実行手続,競売手続が停止される制度で,別除権協定を締結する交渉のための期間的な猶予が与えられるにとどまるものです。
この相当期間内に別除権協定が結べず,中止期間が満了すればまた競売手続が続行されることになります。